宝井琴梅 講談の夜のあとで

秋も深まった10月14日の夜、講談界の重鎮・宝井琴梅先生の講談会を開催しました。
日中の暑い日差しと打って変わって夜のしじまの中、
初めて講談を聞く方も、おなじみの方も、琴梅先生の世界へみるみる引き込まれていきました。

前席は先生自らの農業体験を基にした「農は国なり」。
健全な食べ物を摂る身体にこそ健全な精神が宿る。食べ物を大切にすることの重要さと、水戸黄門のエピソードと共に読んでいただきました。
農は国の基なり

後席は長谷川伸作「夜もすがら検校」。
世の中で大事なものはお金ではなく相手を思いやる心なのだ。目の見えない検校の心細さ、若蔵の一本気な性格が、巧みな話術で場面場面が見事に伝わり、物語の終わりには泪が頬を濡らしながら聞いていた方もいました。
夜もすがら検校

テレビや漫画など視覚で楽しむ文化で溢れている現代において、耳で受け止めて自分の力で想像し再生することの大切さ、そして次第に失われつつある日本人独特の人情の美しさ。
講談という話芸から大事なことを学んだ気がします。

琴梅先生本当にありがとうございました。
そして、ご来場いただいた大勢の皆様、ありがとうございました。