3響シリーズ、いよいよ大団円。

 12月11日(日)、「川口成彦フォルテピアノリサイタル」を開催しました。これをもって、焱の博記念堂・秋のコンサートシリーズ「3響」が大団円を迎えました。思えば、焱の博記念堂開館25年、当法人結成10年を記念して企画したこのシリーズ、10,11,12と三か月で三つのコンサートを開催するなど大きな挑戦ではありましたが、文化庁はじめ支えていただいた関係者の皆さま、ご来場いただいたお客様、そして何より素晴らしく得難い演奏を聞かせていただいた出演者の皆様に深く厚くお礼を申し上げます。                               

 10月1日(土)、The first harmony として登場した「ルードヴィヒ・チェンバー・プレイヤーズ・シュトゥットガルト(LCPS)」。管弦八重奏というぜいたくで変幻自在なアンサンブルは、いつものように綿密な練習に裏打ちされてこその自由で明るい音楽を披露。おっかけファンたちはもちろん初めてのお客様も瞬く間に音楽仲間にしてしまいました。楽屋での彼らの合言葉「若い時は二度と来ない」の言葉通り、儚いがゆえに音楽は美しい。改めて思いました。








 11月5日(土)、The second harmony 「アントネッロ」が体現したのは音楽が生まれた時や場所のスピリット。これまでいろんなスタイルで、ルネサンスやバロック時代の音楽を楽しませてくれた稀有なアンサンブルが、今回はリコーダーカルテット+リュート+打楽器という編成でルネサンス時代のヨーロッパの様々な場面の音楽を再現。時空を超えての旅へ誘ってくれました。音楽を楽しむことは旅を楽しむことと同じかも知れませんね。記念堂こどもクラブで活動するリコーダークラブ「ア・リコーダー400」も参加しましたよ。あ、ステージにはアヒルもいました。
 






 そして12月11日(日)、The third harmony として最後を飾ったのはピアニストの川口成彦さんとパートナーの1843年プレイエル社製のフォルテピアノ。東京より30時間の旅を経て記念堂のステージに立ったその楽器は、長旅の疲れを見せたのもつかの間、まるでずっとそこにいたかのように美しく歌ってくれました。そして川口さんは愛しそうにその楽器を操り、ショパンやシューマンが伝えたかったメッセージを余すところなく代弁しました。間違いなく、佐賀県有田町の焱の博記念堂は二時間の間、180年前のフランスの首都パリのサロンになっていたのです。
 

 




 ということで、3つの響きいや3つの旅が終わりました。ほっとしたような寂しいような。また新たな旅に出るまでしっかり準備します。その時はまたご一緒してください。よろしくお願いします。