第3回コンサート
    
 
バロックへのいざない
―ヨーロッパへ渡った有田焼―
日時/平成16年3月27日(土) 開場 17:30/開演 18:30
会場/炎 の博記念堂 文化ホール

出演/有田正広・井上良子・林 一馬・藤原友子
入場料/一般  2,000円(当日2,500円)
      学生  1,000円(当日1,200円) 全席自由
主 催/コンチェルトグロッソ
後 援/佐賀県・佐賀県文化団体協議会・有田町教育委員会
    西有田町教育委員会・NHK佐賀放送局・佐賀県陶芸協会
問合せ/TEL0955-46-3362(岩崎) FAX0955-46-3362
      e-mail  concerto@cside.com (お名前、送付先、枚数をお知らせください)
  
バロック文化に愛された有田焼
有田焼が花開いたのは、いつごろのことと思いますか。今から三五〇年前、一六五〇年ごろのことです。
 なぜ、このときだったのでしょうか。背景には、ヨーロッパの芸術文化と世界の動きがあります。
 十七世紀のヨーロッパは、王侯貴族のあいだで東洋へのあこがれが高まりました。東洋の陶磁器や家具、珍品をコレクションすることが流行したのです。
 当時の貿易を担ったオランダ東インド会社は、中国の景徳鎮などから陶磁器をヨーロッパに輸入していました。しかし、一六四四年に明が滅び、中国が動乱時期に入ると、陶磁器生産地を他に求めなくてはなりませんでした。それが有田だったのです。以後、十八世紀中頃まで、長崎出島のオランダ商館を通じて、多くの有田焼がヨーロッパに渡っていきました。有田では、華やかで美しいやきものが、確かな技術のもと次々に作り出されていったのです。
 十七世紀から十八世紀のヨーロッパは、バロック様式が一世を風靡しました。陶磁器で豪華に飾り立てた「陶磁器の間」で、バッハ一族やテレマンなどの名だたる音楽家が演奏する中、貴族たちは政治・社会・文化・芸術のさまざまな話を繰り広げたのです。
 想像してみてください。室内に飾られた有田焼がバロック音楽に包まれる様子を。
 コンチェルトグロッソ第三回コンサートは、「バロックへのいざない―ヨーロッパへ渡った有田焼―」と題し、有田焼の礎となった十七、十八世紀に注目し、バロック音楽、そして有田焼と長崎出島のトークを楽しむ趣向といたしました。
 音楽は、古楽器演奏の第一人者として知られる有田正広氏と若手の井上良子氏に、フルート曲の数々を古楽器を交えて演奏していただきます。
 トークは、長崎総合科学大学教授で出島復原に携わっていらっしゃる林一馬氏に出島の様相について、九州陶磁文化館学芸員の藤原友子氏にヨーロッパに渡った有田焼について、お話いただきます。
 桜が咲き乱れる春の宵、ヨーロッパ宮廷を再現した舞台で、豪華なメンバーによるフルートとトークが繰り広げられます。華やかなひとときを楽しみに、ぜひお越しください。

曲目
                   フルート演奏 有田正広 井上良子

M.ブラヴェ (Michel Blavet, 1700-1768, パリ)
  3つの小品 3 Pieces  
    Petit Air leger(小さく軽やかなエール)
    L'autre jour Colin malade(ある日病気のコランは)
    Le Tourlier(門番)

J.M.オトテール“ル・ロマン”
(Jacques Martin Hotteterre゛le Romain", 1674-1763, パリ)
    L'autre jour ma Cloris…..(ある日、僕のクロリスは・・・)


トークT 長崎出島のおはなし  林 一馬(長崎総合科学大学、建築歴史・意匠)


C.P.E.バッハ
(Carl Philipp Emanuel Bach, 1714-1788, ベルリン/ポツダム)
  2本のフルートのための二重奏曲 
  Duett per il Flauti Traversi
    wot.81-5 Presto
     81-7 Andantino

F.クープラン (Francois Couperin, 1668-1733, パリ)       
    Les Rossignole en-Amour(恋するウグイス)


トークU ヨーロッパへ渡った有田焼のおはなし   藤原友子(九州陶磁文化館、近世美術史)


G.Ph.テレマン
(Georg Philipp Telemann, 1681-1767, ハンブルク)
   二重奏曲イ短調
    Allegro
    Moderato
    Allegro

W.F.バッハ
(Wilhelm Friedemann Bach, 1710-1784, ドレスデン)
   二重奏曲ト長調
    Allegro ma non troppo
    Cantabile
    Allabreve
    Gigue

W.A.モーツァルト
(Wolfgang Amadeus Mozart, 1756-1791, ウィーン)
  オペラ「魔笛」からフルート二重奏
  (1791年頃ウィーン〜1794の編曲)
  Duo from his opera ゛Die Zauberflote"
    Der Vogelfanger bin ich ja(オレは鳥刺し)
    Das klinget so herrlich(ああなんと美しい響きか)
    Ach, ich fuhl's, es ist verschwunden ...
    (ああ、私にはわかる、すべてが消えうせてしまうことが..)
    Ein Madchen oder Weibchen(娘っ子か女房がひとり)

出演者プロフィール

有田 正広 
フルート、フラウト・トラヴェルソ
昭和音楽大学教授
桐朋学園大学、ブリュッセル王立音楽院、デン・ハーグ王立音楽院卒業。1985年にレコード・アカデミー賞2部門と文化庁芸術作品賞、1990年にサントリー音楽賞を受賞。作曲家各時代のフルートを吹き分ける無伴奏リサイタルなど、めざましい活動を続ける。1989年から福岡で始まった古楽音楽祭の音楽監督としても広く親しまれている。記念堂では、2000年から4年連続の登場。

井上 良子 
フルート
昭和音楽大学卒業、同大学院修了。
齋藤曜子、石橋利矩、石橋正治の各氏、大学院にて有田正広氏に師事した。大学在学中にシオン・フルートカルテットを結成し、演奏会を開催する。「フレンチ・フルート・スクール」を研究テーマにし、将来を期待される。

林 一馬  
建築意匠、歴史
長崎総合科学大学工学部教授 工学博士
京都大学卒業、同大学院修了。『伊勢神宮・大嘗宮建築史論』で2002年日本建築学会賞受賞。同学会九州支部建築歴史・意匠委員長、長崎県文化財保護審議員、同県美しいまちづくり審議員など、各地の歴史的建造物の保存・修理・復元に携わり、歴史的な建物や都市を現代に活かすまちづくりに積極的に取り組む。

藤原 友子
近世美術史
佐賀県立九州陶磁文化館学芸員
慶応大学卒業、武蔵野美術大学大学院修了。佐賀ときめき大学講師。主なテーマは肥前磁器の輸出と肥前磁器の用途について。展覧会・図録・書籍などを通じて17・18世紀のヨーロッパに渡った有田焼の魅力を伝えている。

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当日のプログラム↓からどうぞ
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